ランナーや部活動生に多いかかとの痛み「アキレス腱症」とは
アキレス腱症とは、「アキレス腱実質部や付着部に生じる疼痛と機能障害」と定義される症状です。 ふくらはぎの筋肉がかかとの骨(踵骨)に付着するアキレス腱の部分に、運動による繰り返し負荷がかかり、微細な損傷の修復が追いつかずに腱が変性することで痛みが起こります。
主な原因は、運動によるオーバーユース(使いすぎ)です。 近年の研究では、単なる「炎症」ではなく、腱の組織が弱くなる「変性」が病態の本質であると考えられています。一度悪循環に陥ると、なかなか治りにくい難治性のスポーツ障害となるのが特徴です。
陸上競技、サッカー、バスケットボールなど、走る・跳ぶ動作が多い競技に多くみられ、中でもランナーの罹患率がかなり多いとされています。
運動中や朝に悪化するアキレス腱症の主な症状
アキレス腱症の中心症状は、アキレス腱やかかとの痛みです。 特に次のような症状がみられます。
- ・アキレス腱を押すと痛い(圧痛)
- ・アキレス腱が太く腫れている(肥厚)
- ・朝の動き出しの一歩目が痛い(朝のこわばり)
- ・運動開始時に痛むが、温まると一時的に楽になる
- ・運動後や翌日に痛みが強くなる
初期段階では「動いているうちに痛みが消える」ことが多いため無理をしてしまいがちですが、放置すると安静時にも痛むようになり、最悪の場合はアキレス腱断裂のリスクも高まります。
アキレス腱症になりやすい人の特徴
アキレス腱症は、オーバーユースに加えて以下の要因が重なることで発症しやすくなります。
- ■ 足部のバランスが崩れている(過回内・偏平足) 足が内側に倒れすぎると、歩行や走行時にアキレス腱にねじれのストレスが加わりやすくなります。
- ■ ふくらはぎの筋肉が硬い 腓腹筋などが拘縮して硬くなっていると、アキレス腱に加わる牽引力が強まり、腱への負担が増大します。
- ■ 急激な運動量の増加や環境の変化 急に練習時間を増やした、練習場所が硬い地面に変わった、シューズを新しくしたなどの変化に、腱の修復能力が適応できず痛みが出やすくなります。
アキレス腱症の治療法について
アキレス腱症の治療では、「痛みを抑えること」と「腱の負荷耐性を高めること」の両立が重要です。 特に大切となるのは、次の3点です。
- ・崩れた足部のアライメントを整えること 足の土台が崩れていると、いくら腱を治療しても再発を繰り返します。足部を本来の位置に整え、正しく体重を支えられる状態にすることで、アキレス腱へのねじれや過度なストレスを軽減します。
- ・ふくらはぎの筋肉の緊張を緩和すること 硬くなった筋肉の柔軟性を取り戻すことで、アキレス腱への過剰な引っ張りストレスを緩和し、腱の修復環境を整えます。
- ・適切な「負荷」をかけること 最新のエビデンスでは、「完全安静は推奨されない」ことが分かっています。痛みの範囲内で、段階的にアキレス腱に負荷をかけるトレーニングを行うことが、腱の強さを取り戻すための最短ルートとなります。
モノ・カラダ・プランのトータルアプローチ
当院では、モノ、カラダ、プランの3つの観点からアキレス腱症に対し、早期の競技復帰と再発させない体づくりを目指しています。
- 医療用矯正インソール「フォームソティックス・メディカル」の処方(モノ) 世界中の足病医が使用する医療用インソールを処方します。足部の過回内を矯正し、体の土台を整えることで、アキレス腱への不自然な負担を根本から取り除きます。
- 体外衝撃波(圧力波)や鍼治療による組織修復の促進(カラダ) なかなか治らない慢性的な痛みには、体外衝撃波治療器「マスターパルス」が非常に有効です。衝撃波を患部に当てることで、わざと微細な損傷を起こし、新しい血管の形成と組織の再生を強力に促します。また、鍼治療を用いて深部の筋緊張を緩和し、痛みのサイクルを遮断します。
- 最新ガイドラインに基づいたリハビリ計画(プラン) 「どのくらい動いていいのか?」という不安に対し、最新のガイドラインに基づいた明確な指標を提示します。痛みの程度を確認しながら、最適な負荷設定でのセルフエクササイズを指導し、最短での復帰プランを一緒に立てていきます。
アキレス腱の痛みは「休ませて治す」のではなく、適切なアプローチで「鍛えて治す」時代です。 「なかなか痛みが引かない」「練習を休みたくない」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。


